"Gibraltar" オーストラリアの360万坪の牧場から

オーストラリアの田舎にて牛を育てる日本人のブログ。日本では有り得ない日常や日々の生活、360万坪の牧場での出来事を記事にしています。 過去の記事は旧ブログでご確認下さい。 旧ブログアドレスhttp://s.ameblo.jp/gibraltarmasashi/ 

ライダー2号

こんにちわ。

物凄いヒートがこの地域を襲っております。

この週末は例年より6℃~10℃気温が高くなるようで、本日2月11日は予想最高気温も42℃と高くなっています。それに加えて最近雨が降っていないために、牧場の草はポテトチップス状態で、牛にとって厳しい状況になっています。

さて、そんな暑い週末に行われたのが年に一度の地元のお祭り。子供たちが楽しみにしている行事です。

※あらかじめ謝っておきます。。。面白そうな内容ですが、興奮した3歳の3男を夫婦で終始追いかけていた為、このお祭りの写真はありません・・・。

 

お祭りといっても、ここはオーストラリアの田舎。やはり日本のお祭りとは全然違います。

日本でお祭りと言うと、御神輿を担いだり、縁日で楽しんだり、盆踊りをしますが、こちらのお祭りは「local show  ローカルショー」というだけあって、地元で採れた農作物や家畜の品評会や、牧羊犬のコンテスト、チェーンソー大会などといった内容が多く、地元の人がみんなで盛り上げるイベントといった感じです。

メリーゴーランドや大きな滑り台といった移動式遊園地も来ていますし、アイスクリームやジュース、アメリカンドッグなどの食べ物を売る露店もいくつか会場に集まっています。

そんないくつかの催し物の中で最も人気なのが「ロデオ」です。

ロデオは知ってる方も多いと思いますが、お腹をキツく締め付けら怒り暴れている馬や牛の背中に人間がまたがり競う競技です。

今回は馬の競技は無く、牛にまたがる「Bull Ride ブルライド」のみ。体重700~800kgほどの大きなオス牛に人間がまたがります。大暴れしてる牛にせいぜい80kgの人間が乗るわけですから、そりゃあ危険な競技でして、プロのライダーも大怪我よくしています。もともとはカウボーイが度胸試しで始めたのがきっかけだそうです。

この競技と採点方法ですが、8秒間ブルに乗り続けたら合格で、100点の採点の内、ブルの動きが50点、人間の姿勢や乗り方が50点と別れています。8秒乗れてもブルが全然暴れなかったりしたら得点は低くなります。乗り手は片手をずっと挙げてなければ失格で、バランスを崩した際に挙げた手を牛に触れても失格です。

今回このブルライドに9歳になるウチの次男が挑戦しました。

ご安心ください。9歳の子を800kgのオス牛には乗せません。12歳以下の子は「Calf Ride」と言って子牛に乗ります。「子牛」と言いましても、体重は150kgから250kg程ありますので、落っことされて蹴られたり踏まれたりすればそれなりの「痛み」折れ」は発生します。

実は長男が10歳の時に初挑戦して、4秒間乗り無傷で帰ってきました。今回はそれより1年若くして次男が挑戦します。

ヘルメットと手袋、プロテクターのベストを装着し準備完了。初挑戦だった事もあり、3人の大人がサポートしています。その体重200kgのメスの子牛に乗った内容は以下の動画をご覧ください。

 


calf riding

あまり上手に撮れていませんが、牛に踏まれ、サポートの大人に蹴られて、まさに踏んだり蹴ったり。結果は4秒ほどでしたが必死に牛にしがみ付き、牛に踏まれた腕の青アザを自慢げにしている次男にアッパレです。

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こうやってみんなタフなカウボーイに成長していくのですね。

ヘイ作り②

いや~疲れちゃってます・・・・。

まず気温が酷い。ヘイ作りを始めてから気温が毎日40度をこえてまして、エアコン完備のトラクターの中に居てもトラクターはほぼ全面ガラス張りですから暑くて仕方がない。仕事が終わって家に帰るとビールの小瓶を一本飲んで、冗談抜きで水を3リットルは飲みます。シャツは頭から水を被ったようにビショビショで、その水分に泥やオイルが付くから仕事終わりは本当に真っ黒です。

 

さて前回の記事の続きです。前回お話ししたように、ミレットという牧草のヘイを作っています。

カットした草は十分に乾きましたので、いよいよ機械を作ってブロックにしていきます。

この1990年製の機械(baler ベーラー)を使い乾燥した牧草の拾っていきます。

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前から草をある程度拾うと後ろからまるで〇〇〇のようにヘイを出していきます。ヘイは紐できつく縛られています。

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なぜベーラーと言うのかと申しますと、こうやって牧草をヘイにする作業を「Bale」ベールすると言います。他にも、梱包したりする意味もあります。なので、それをやってくれる機械はベーラーと呼ばれるわけです。

トラクターはもちろんの事、こういった牧場で使う機械類は非常に高額です。新品ですと高級車一台分の値段が当たり前です。なので、このように1990年製の機械を中古で安く買い、メカニックを呼んだりしながら大事に使っています。

機械から出されたヘイは写真の様にシングルベッドほどの大きさがあり、重さは一個250kg~300kgほどあります。僕の身長が180cmなので、大きさがわかると思います。

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この3万坪の畑をベーラーでグルグル周り、乾燥した草を拾っていくと、終わった頃には畑のそこらじゅうにヘイが落ちています。

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今回は256個のヘイが出来ましたので、3万坪に256個のシングルベッドが落ちていると想像して頂けるとわかり易いと思います。

今度はそれを大きいトレーラーをトラクターで引っ張ってトラクターの前に付いたフォークで刺して持ち上げてトレーラーに載せていきます。

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このトレーラーには約20個のヘイが一度に載せられますので、父が小さなトラクターで畑に散らばったヘイを20個ひとかたまりに集めていきます。

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ちなみに、集めるだけで2日かかってしまいますので、2日目の前半は妻もトラクターを運転しヘイを集めました。

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20個ひとかたまりのヘイをトレーラーに積んだら、今度はそれを「hay shed ヘイシェッド」に運び、降ろします。ヘイシェッドとはヘイが雨にさらされない為のの倉庫の事を言い、この牧場には大中小と3つあります。今回は小と、中のヘイシェッドに移動します。半分は機械と小さいヘイで埋まっていますが、半分は空っぽですので、ここに今回作ったヘイを積んでいきます。

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20個ひとかたまりを一個ずつトレーラーに積み、トレーラーをトラクターで引っ張り、道路を走り、そのヘイをシェッドに収納する。この作業1回で平均50分かかりますので、256個を全て移動させるには、休憩なしでも約13時間かかります・・・。

半分空っぽだった小さいヘイシェッドは天井近くまで埋まり、140個を収納しました。

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残りは川の反対側に運びます。


こうやって256個は無事に収納され、冬に牛に与える分は確保できました。冬の厳しさによりますが、平均すると冬2回でこのヘイは全て牛の胃袋に消えていきます。

ちなみに、全て売却する事も出来ます。今回のヘイはミレットの他に雑草も多少混ざっています。しかし1個50ドルほどで売れるはずです。

 

こうして炎天下の中家族そろって仕事をして冬の準備を始めています。ここに来たばかりの時はヘイも僕の知識も無く、冬に大量の牛が飢えて死にました。二度と悲劇を起こさないためにも、常に2年以上分のエサは蓄えておきたいと思っています。


さあ!もう雨降っていいぞー!

ヘイ作り①

こんにちは。

相変わらずドライで、暑いです。雨が降らないのが理由なのか、他にストレスを抱えるような事が自分の中で起きているのかわかりませんが、10円禿げが後頭部に出来てから数か月、10円が500円に値上がりしています・・・。

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さて、雨が降らないと嘆いていますが、牧場の仕事でも雨が降らないでも良いタイミングがあります。それはタイトルの様に「ヘイ作り」の時です。

何度かこのブログにも出てきているこの「ヘイ」とは、牧草を乾燥させて、それを刈り取り、干して乾燥させ、最後に圧縮して1つのブロックにした「牧草のかたまり」を言います。これはもちろん売る事も出来ますし、自然に生える草が寒さで無くなる冬の時期に自分の家の家畜に与える為のエサにもなります。

先日このブログで書きました「ミレット」という牧草が順調に育ちまして、それをヘイにするために刈り取りました。穂が頭に付いた時が刈り取りの時期。

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この刈り取りの時期から、最後の圧縮の時までが上に書いた「雨の降らなくてよいタイミング」です。

というのは、ここに生えているミレットをトラクターで全て刈り取り、機械でひっくり返しながら干し、圧縮してそれを倉庫にしまうという一連の作業は非常に時間がかかります。今回の畑は3万坪ありますが、全ての作業は時速6km程度で行わなければいけません。「ヘイ」は説明したように乾燥牧草なので、一連の作業中に雨が降るとせっかく乾かした牧草を干し直さなければならない事はもちろんの事ですが、もう一つの大きな理由として自然発火があります。乾燥が甘い状態で圧縮すると牧草が自然発火します。理由を調べると「生物学的事象と化学反応の複雑な連鎖」と書かれています。ちょっと難しいですが、とにかくしっかりと乾燥させることが必要です。しかし、ここがポイントで、あまりカリカリに乾燥させると、ヘイ作りで使用する機械がせっかくの茎や葉っぱを粉々にしてしまします。なので、ある程度の水分が必要です。

ヘイの自然発火については、検索すると色々と写真が出てきます。勝手に写真を使うのもアレなんで、googleなどの画像検索で「Spontaneous combustion hay」と入力して検索すると色々と画像が出てきます。

 

さて、牧草を刈り取る機械を付けてトラクターを時速6kmで運転し、ミレットを刈り取っていきます。

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刈り取り後は写真の様に「うね」が出来ますので、これを別の機械で何度かひっくり返し、陽に当てて干す事を数日繰り返します。

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今回の刈り取りの作業中に面白い物を見つけたのでご紹介します。(僕にとっては面白くないです・・・むしろ嫌いです!!!)

刈り取り機の動作をトラクターから見ていると、なにやら刈り取り機からまるで誰かがジャグリングしてるしてるかのように何かがお手玉のように飛んでいます。だいたいこういう時は畑に転がっている石が原因なのですが、今回はもっと丸っこい。

機械を止めて見てみると、そこにあったのは写真のコレ。

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これ、見ての通り「メロン」と言います。英語でスイカは「ウォーターメロン」そうです!なんと畑の中に「メロン」が生えていたのです!!!!!

 

と言いたい所ですが、この「メロン」

 

雑草です。

 

Q.食べれますか?

A.僕が産まれてから今までに口に入れたもので一番苦いです。食べれません。

 

いつかの「アップルツリー」の記事同様に「メロン」という名前のクセに食べれない。勝手に生えて畑に生えてゴロゴロと寝転がっています。しかも、硬いのでトラクターで踏んでも割れない事が多いので、一個ずつ拾って畑の外にイチローもびっくりの強肩でポイーっと遠投します。


そんなこんなで刈り取りは終了。今日で乾燥作業も終わりましたので、明日は圧縮と収納の作業です。何個出来るか楽しみです!

では。

いたちごっこ

「いたちごっこ」

双方で同じようなことの繰り返しで,いつまでも埒(らち)のあかないこと。

 

さて、変な書き出しですが、今日のブログの内容です。

こちらは一昨日雨が降るまで例のごとく雨が降らず、しかも気温が毎日のように40度を超えていた為、パドックの草はだいぶ短くなり茶色くなっていました。今回は予想より降った為、しばらくすればパドックもグリーンに変わって来るでしょう。

しかし暑い。とにかく暑い。午前10時から午後6時ぐらいまでは地獄の暑さ。特にランチが終わった後の1時や2時は外に出られたもんじゃありません。

そんな猛暑の中、シャツをびしょびしょにしながら僕がパドック内で格闘しているものがあります。

広い牧場で放牧を牛を育てるには当然ながら草が必要です。360万坪の牧場で育つ草の99%は自然の恵みで、残りの1%は僕が育てる牧草です。逆に言えば牧場で牛を育てているのですが、その牛のエサを僕がコントロール出来るのは1%しかないと言う事です。

その残った99%をいかに減らさずに現状維持させたり増やしたりするかは僕の仕事量にかかってきます。当然牧場の広さは360万坪から変える事は出来ません。もちろん、他の土地を買えば草は増えますが、そんなお金あったっけ??です。

さて、99%の増やし方や維持方法ですが・・・

①雨乞いをして本気で祈る、踊る(笑)。

②肥料や種を撒く

③邪魔な物を取り除く

この3点です。

①ですが、笑ってはいけません。この地域は以前記事にもしましたが干ばつが深刻な地域に指定された事があるほど雨が降りません。テルテル坊主を逆さに吊るしたりと工夫をしましたが全然降りません・・・笑。

②の方法はヘリコプターなどを使って空から広い土地に肥料や種を撒き、既存の草のボリュームアップをはかる方法です。そりゃコストは掛かります。

③が今回の記事です。「邪魔な物」を取り除くとありますが、邪魔な物は大きく分けて二つあります。

ひとつは牛が食べない雑草。

牛は草であれば何でも食べる訳ではありません。やはり食べない草もあります。その食べない草を除草剤などを使い枯らせる事で、牛の食べる草が摂取できる栄養や水を増やすという内容。ただ、これには問題があって、もちろん除草剤などのケミカルを撒き散らす事もそうですが、本当に酷い干ばつなどで草が無くなった場合、牛はこれらの「普段食べない草」も食べるようになります。なので、非常食として取っておきたいところです。

もう一つは「木」です。

牛は木は食べません。木は日陰を作りますが、日陰は草の育ちが悪く、木が多く生える森は牧草地には適していません。その木を減らす事で、草の生えるスペースを増やすという方法です。

今回ご紹介する「木」ですが、ホントにファーマー泣かせの木です。どんな木かというと、皆さんにも馴染みのある松の木です。この松の木をチェーンソーで切る事を職業にしてる人がいるほど、牧場では困った木なのです。その内容を写真で解説します。

まず、これが問題の松の木です。

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この松の木は非常に繁殖力が強く、尚且つ土をダメな土に変えてしまいます。

下の写真の様に、大きい松の木の周りに小さい松の木が無数に生えています。。

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この松の木の下を見てみると、草は全然生えていません。

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詳細は勉強不足なのですが、地元の人曰く、どうやら松の木が地面に落とすものが土を殺し、死んだ土が雨で流れていってしまう。との事。たしかに、松林の中は土が薄くて石がゴロゴロしている。

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もうお分かりだと思いますが、この松をどんどん処分しないと、牧草地はすぐに松林になり、牛が食べる草がどんどん無くなります。現在360万坪の敷地内の30万坪ほどは松に覆われてると思います。

この松をチェーンソーやブラシカッターを使用して歩きながら切っていく事が牧場のひとつの重要な仕事です。

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気温40度を越える中、山あり谷ありの牧草地を機械を持ちながら背中を曲げながら歩くともうシャツはビッショリの脱水症状寸前です。


松の処分前

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処分後

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処分前

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処分後

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こうして何とか既存の牧草の現状維持に努めているのですが、下の写真を見て下さい・・・。

この写真にも・・・

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この写真にも・・・

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この写真にも・・・

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あぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!

松を切って地面が見えてくるとそこには・・・。

俺が4年前に切った松が・・・・。

そうです。そうなんです。こういう流れなんです。

 

数年前「あっ松だ、切らなきゃ!」

数年後・・・。「あっ松だ、切らなきゃ!!」

チェーンソー「ギュイーーーン」

切られた松「あっ、どうもお久しぶりです4年前の松とその子供です」

 

松は切るともっと出てきます。切らないとどんどん増えます。

 

あなたは切りますか?切りませんか?

これも牛の為。切って切って切りまくって、その内子供にバトンタッチして逃亡ですね笑。

 

それでは!

 

 

 

 

嵐の去った後

こんにちは。

日本はもう正月休みも終わり、お仕事や学校がスタートしていると思います。

こちらも仕事を再開し、後で記事にしますが子牛の去勢などを炎天下の中行っています。

子供達はまだ夏休みを満喫中です(こちらは夏です)。夏休みはクリスマスの前の週より始まり、1月の末で終わります。こちらの学校は日本と違い新年で進級しますので、この夏休みが明けたら新しい学年になるという事になります。

 

さて、子供は夏休みですが、僕は仕事を再開してますので牧場の話しです。

この牧場はブログのタイトルになっているように、敷地面積が360万坪内ありますので、牧場内には3つの公道があります。その内2つの道路にはこの牧場の名前「Gibraltar」が付いています。

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公道と言っても、ド田舎なのでほぼ私道ですし、それらの公道はもちろん未舗装で牧場の真ん中を突っ切る形の道ですので牛も歩いていれば、僕のトラクターも走ります。

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ハッキリ言って、車検の無い車やバイク、ノーヘルメットでこの道を走るのは当たり前ですし、これを規制されてしまうとオーストラリアで農業は出来ません笑。隣の牧場まで車で10分かかるのですが、お互いに上記のような車両で行き来します。もちろん仕事上の理由でこういう半無法地帯になっているわけですが、法を悪用したり、楽しんでいるわけではありませんのでご了承ください・・・。

しかし、こういう事を楽しみにする人はたくさんいます。

要するに、パトカーなんてこの道で見た事ありませんし、自由なんです。

敷地の持ち主である我々は出来るだけ公道に隣接した牧場内を走りますが、中には法が緩い事を逆手にとって、ノーヘル運転や飲酒運転を楽しむ連中もいます。そういう連中がクリスマス~正月の「クリスマスホリデー」中に湧いてきます。

牧場の敷地内に公道がある牧場主は牧場の入り口に写真のような標識を出す必要があります。要するに、「家畜が歩いてるので注意して走行してください」と言う事。

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この標識を立てる事は義務であるので、これを怠って万が一誰かが家畜と衝突し事故を起こしてもしまったら、こちらに否がある事になってしまうでしょう。ただ、ここは田舎の未舗装の一本道ですので、事故を起こすようなスピードで走る車は普段見かけませんし、通常はこの周辺の農家の人間しか通らない道ですので、家畜を理解し、馬鹿げた運転はしません。

 

それは先週末のこと、恐らく先週末がギリギリの正月休み内。

川の向こう岸の公道の東側から大きなエンジン音が聞こえてきたので作業を止めて見ていると、2台のバイクが物凄いスピードで2ストロークの甲高い爆音(バイクのレースのような音)を鳴らしながら走っているのが見えました。恐らく100キロは出ていると思われます。

現在、この道路沿いには子牛をを連れた母牛が40頭近くいます。その牛達が突然の爆音と近づいてくるバイクに驚き逃げ惑う姿が遠くから確認出来たので、怒り心頭!!といっても、ものすごいスピードで走り去ったバイクを追いかける事も出来ずにいると、川を渡って牛がこちらの方に逃げてきました。

そして、今週の月曜日、その日は家族総出で子牛の去勢を行っていました。お昼ごはんに家に戻って来ると、家のドアに張り紙が貼ってありこう書いてある。

「牧場西の道路沿いにワイヤーが絡まった子牛が居る」

嫌な予感が的中した。逃げ惑った子牛がフェンスをジャンプして絡まったんだ・・・。

公道を通った誰かが我々に知らせに来てくれたのだろう。急いで西の道路沿いを見に行きましたが、いくら探してもその子牛は見つからなかったので、ワイヤーは自然に取れたと思っていた。しかし、昨日の朝にまた子牛の去勢を行うために牛を集めようとしていたところ、動画のような光景がありました。

皆さんも気を付けて運転してくださいね。また、運転してない時はお馬鹿さんに十分に気を付けて下さいね。

では。以下が動画です。

 


ワイヤー

 

真夏の新年

みなさま明けましておめでとうございます。
本年も気まぐれに更新されるこのブログを宜しくお願い申し上げます。

昨年はブログで色々な事を報告したと思います。トラブルがあったり、天気に悩まされたり、肉旅行に行ったりと、なかなか充実した一年でした。そんな2016年の大晦日はというと、妻が街に買い物に出かけ、新年のダラダラモードに向けて買い溜めをしてきました。(まあ、いつでも一週間分の買いだめですが・・・)
妻が戻って来ると、あれ?タイヤがひとつペッチャンコ。どうやら家に着く直前でパンクしてしまったようです。

「あぁ大晦日で良かった」

これが1日ずれていたら、新しい年はどうなるんだろう。新年早々最悪なスタートを切るところでした。

しかし、ここに住んでいるとパンクは日常茶飯事。恐らく1年に平均2回はパンクするのではないでしょうか?
「なんでそんなにパンクするの?」「運転が荒いの?」と、思うかもしれません。
では、ここでのパンクの原因の9割は何だと思いますか?
普通に考えると、機械類もたくさんあるし、ワイヤーや金属もたくさん使用するので、それらが刺さる事が原因だと思われがちです。
しかし、毎度パンクの修理をお願いした時にパンクの原因をタイヤ屋さんに聞くと9割が同じ返答。それは・・・

「石」

そうなんです。尖った石がタイヤに突き刺さるのです。
ハイウェイに出るまで往復で15km未舗装の道を走ります。山を削って出来た道ですので、表面は写真のように細かい石だらけ。

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この細かい石がタイヤを傷つけるわけですね。これは自分ではどうする事も出来ないので、年に数回のパンクはもう諦めています。

さて、やっかいなパンク修理は2016年に片づけ、日本より二時間早く新年を迎えました。
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正月はゆっくり起きてダラダラしながら友人がフェイスブックにアップするおせち料理を羨ましくながめたりしてました。

いいですね日本の正月は。おせち料理やお雑煮や汁粉。初詣におみくじに墓参り。こたつでゴロゴロしながら一杯やって寝たりして。

子供の頃からずっと親しんだその環境が、気温40度のギラギラギラギラした太陽光が差し込む冷房の寒いぐらいに効いた部屋のソファーで寝転んでいると、非常に懐かしく恋しくなりますね。

全く風情も何も無い。おせちの食材も無ければ餅もアンコも羽子板も無い
一応、子供にはお年玉をあげましたが、何か物足りないですね・・・。

お年玉と言えば、子供の頃は親戚の人なんか家に訪ねて来るとジロジロと物欲しそうに見つめて付いて回ったりして、「こっちに来なさい」なんて呼ばれると急に正座なんかしちゃってりして「ハイ!おばあ様」なんて言っちゃう。それで、お年玉もらったら礼もそこそこに駄菓子屋や文房具屋に走って行っちゃってました。

この牧場は何度も言うように、人口3000人の小さな街からさらに40km離れた所にあるから、子供がお年玉を持って走って行く場所なんてどこにも無い。
だからウチの子供はお小遣いを全て貯金するようになってしまいました。もちろん、貯金は良い事です。ただ、あまりにも使わないので、ブリスベンやゴールドコーストのような都会に行く時は子供たちに財布を持たせ、無駄遣いでも何でも良いから考えてお金を使うように教えるのですが、それでも買わない。
そうすると僕に怒られ、しぶしぶ何か買いに行くんだけど、変な500円ぐらいするジュースとか、いまどき「マカロン」なんかを山ほど買ってきちゃう。
そうするとまた「安い缶ジュースがあっただろ!」ってまた僕に怒られちゃったりする。
それで牧場に帰ったら帰ったで「パパ、牛一頭売ってよ」なんて言ってくるからもう何をどうやって教えてよいかわからなくなる。
こういったところでも田舎と都会のギャップを感じます。

ここに住む事は慣れましたが、平凡な1年は今まで一度もありません。もちろんそれは都会に住んでいた頃も同じでした。
2017年も色々な事が起こります。起こらないはずがありません。それを少しでもこのブログを通じて皆様にお伝えできればなと思います。

本年も気まぐれに更新致しますので、気長にお待ち頂き、楽しんで頂けると嬉しいです。

それでは。

思い返せば

こんにちわ。

 

先日長男が小学校を卒業しました。

こちらは新学期は2月に始まり、12月に終わります。

来年からは中学生となるわけですが、自分の子供を褒める事は滅多に無い自分も、長男の小学校生活は本当に良くやったと思っています。

我々家族がこの小さい街に来た時は自分の英語もイマイチだし、田舎の小さい街だからこそ物凄い「アウェー感」を感じる事もしばしばでした。街で買い物をしても、そっけない態度をとられたり、日本語を喋っていると、その辺の子供に物凄い不思議な顔をされたりもしました。そりゃそうですよね、この小さい街はもちろん、ここから半径200km以内には日本人は我々家族しか住んでいないのですから。

こんな環境の中で英語なんて一つも喋れない長男を現地の小学校に入れるのはなかなか勇気のいる事で、言語の問題で「いじめられないか」「勉強が遅れないか」と心配も多々ありました。

自分が小学生の時に、自分の話す言葉が一切通じない学校に入学したと想像してみて下さい。僕なら毎日泣いて、親に学校に行きたくないと訴えていたはずです。

そんな不安の中行った学校の初日の事を今でも覚えています。

初めは妻と「昼休みぐらいまで付き添うか」なんて話していました。学校に到着し担任の先生が我々三人を連れて校舎を周り案内していると、ちょうど休み時間だった子供たちが一斉に長男に寄ってきて、手を引っ張って連れまわし、先生に代わって案内を始めました。

その光景を見て僕と妻は非常に安心し、学校に子供を一人だけ置いてすぐに帰宅しました。

それから6年後、我々が知る限り何の問題も無く学校生活をおくり、英語も上達し、一生懸命ラグビーをプレーし、遂には全校生徒と先生の投票の結果「スクールキャプテン」にも選ばれました。

※六年生は20人しかいませんから、20分の1の抽選に当たったようなものです笑。

おかげで次男は何の恐怖も無く同じ学校に入学し、元気に遊んでいます。

また、子供が学校に行くと、僕たちが一体誰なのかを地元の人がわかるようになる。街のスーパーのレジで「良い旅行を!」って言われなくなったのもこの頃からだと記憶しています。

自分達の生活もそうですし、子供を見ていても本当に思う事は「怖い事なんて何もない」「何とかなる」という事。ネズミやヘビが走り回る築100年の家で、雨水と川の水で生活し、都会から離れて生活してますが、今はここが天国と感じる。

特に子供は何でも吸収しすぐに覚えます。100教えれば200覚える。逆に何も教えなければ周りと差が付くし、人生を無駄にすると思っています。だから日本のご家族も、どんどんやらせて欲しいと思います。

ここはもうすぐ真夏のクリスマスを迎えます。

クリスマスなのに外はこんな景色です。

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今年は雨も降り、牛の状態も非常に良いし、先日蒔いた牧草の種もグングンと育っています。

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毎日、毎週、毎月とそれなりにトラブルや不安や何かしらの出来事が今年もあったのでしょうが、無事にクリスマスと新年を迎えられた事を感謝しなければいけませんね。

 

では、皆様も良いクリスマスと新年をお迎えください。