"Gibraltar" オーストラリアの360万坪の牧場から

オーストラリアの田舎にて牛を育てる日本人のブログ。日本では有り得ない日常や日々の生活、360万坪の牧場での出来事を記事にしています。 過去の記事は旧ブログでご確認下さい。 旧ブログアドレスhttp://s.ameblo.jp/gibraltarmasashi/ 

真夏の新年

みなさま明けましておめでとうございます。
本年も気まぐれに更新されるこのブログを宜しくお願い申し上げます。

昨年はブログで色々な事を報告したと思います。トラブルがあったり、天気に悩まされたり、肉旅行に行ったりと、なかなか充実した一年でした。そんな2016年の大晦日はというと、妻が街に買い物に出かけ、新年のダラダラモードに向けて買い溜めをしてきました。(まあ、いつでも一週間分の買いだめですが・・・)
妻が戻って来ると、あれ?タイヤがひとつペッチャンコ。どうやら家に着く直前でパンクしてしまったようです。

「あぁ大晦日で良かった」

これが1日ずれていたら、新しい年はどうなるんだろう。新年早々最悪なスタートを切るところでした。

しかし、ここに住んでいるとパンクは日常茶飯事。恐らく1年に平均2回はパンクするのではないでしょうか?
「なんでそんなにパンクするの?」「運転が荒いの?」と、思うかもしれません。
では、ここでのパンクの原因の9割は何だと思いますか?
普通に考えると、機械類もたくさんあるし、ワイヤーや金属もたくさん使用するので、それらが刺さる事が原因だと思われがちです。
しかし、毎度パンクの修理をお願いした時にパンクの原因をタイヤ屋さんに聞くと9割が同じ返答。それは・・・

「石」

そうなんです。尖った石がタイヤに突き刺さるのです。
ハイウェイに出るまで往復で15km未舗装の道を走ります。山を削って出来た道ですので、表面は写真のように細かい石だらけ。

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この細かい石がタイヤを傷つけるわけですね。これは自分ではどうする事も出来ないので、年に数回のパンクはもう諦めています。

さて、やっかいなパンク修理は2016年に片づけ、日本より二時間早く新年を迎えました。
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正月はゆっくり起きてダラダラしながら友人がフェイスブックにアップするおせち料理を羨ましくながめたりしてました。

いいですね日本の正月は。おせち料理やお雑煮や汁粉。初詣におみくじに墓参り。こたつでゴロゴロしながら一杯やって寝たりして。

子供の頃からずっと親しんだその環境が、気温40度のギラギラギラギラした太陽光が差し込む冷房の寒いぐらいに効いた部屋のソファーで寝転んでいると、非常に懐かしく恋しくなりますね。

全く風情も何も無い。おせちの食材も無ければ餅もアンコも羽子板も無い
一応、子供にはお年玉をあげましたが、何か物足りないですね・・・。

お年玉と言えば、子供の頃は親戚の人なんか家に訪ねて来るとジロジロと物欲しそうに見つめて付いて回ったりして、「こっちに来なさい」なんて呼ばれると急に正座なんかしちゃってりして「ハイ!おばあ様」なんて言っちゃう。それで、お年玉もらったら礼もそこそこに駄菓子屋や文房具屋に走って行っちゃってました。

この牧場は何度も言うように、人口3000人の小さな街からさらに40km離れた所にあるから、子供がお年玉を持って走って行く場所なんてどこにも無い。
だからウチの子供はお小遣いを全て貯金するようになってしまいました。もちろん、貯金は良い事です。ただ、あまりにも使わないので、ブリスベンやゴールドコーストのような都会に行く時は子供たちに財布を持たせ、無駄遣いでも何でも良いから考えてお金を使うように教えるのですが、それでも買わない。
そうすると僕に怒られ、しぶしぶ何か買いに行くんだけど、変な500円ぐらいするジュースとか、いまどき「マカロン」なんかを山ほど買ってきちゃう。
そうするとまた「安い缶ジュースがあっただろ!」ってまた僕に怒られちゃったりする。
それで牧場に帰ったら帰ったで「パパ、牛一頭売ってよ」なんて言ってくるからもう何をどうやって教えてよいかわからなくなる。
こういったところでも田舎と都会のギャップを感じます。

ここに住む事は慣れましたが、平凡な1年は今まで一度もありません。もちろんそれは都会に住んでいた頃も同じでした。
2017年も色々な事が起こります。起こらないはずがありません。それを少しでもこのブログを通じて皆様にお伝えできればなと思います。

本年も気まぐれに更新致しますので、気長にお待ち頂き、楽しんで頂けると嬉しいです。

それでは。

思い返せば

こんにちわ。

 

先日長男が小学校を卒業しました。

こちらは新学期は2月に始まり、12月に終わります。

来年からは中学生となるわけですが、自分の子供を褒める事は滅多に無い自分も、長男の小学校生活は本当に良くやったと思っています。

我々家族がこの小さい街に来た時は自分の英語もイマイチだし、田舎の小さい街だからこそ物凄い「アウェー感」を感じる事もしばしばでした。街で買い物をしても、そっけない態度をとられたり、日本語を喋っていると、その辺の子供に物凄い不思議な顔をされたりもしました。そりゃそうですよね、この小さい街はもちろん、ここから半径200km以内には日本人は我々家族しか住んでいないのですから。

こんな環境の中で英語なんて一つも喋れない長男を現地の小学校に入れるのはなかなか勇気のいる事で、言語の問題で「いじめられないか」「勉強が遅れないか」と心配も多々ありました。

自分が小学生の時に、自分の話す言葉が一切通じない学校に入学したと想像してみて下さい。僕なら毎日泣いて、親に学校に行きたくないと訴えていたはずです。

そんな不安の中行った学校の初日の事を今でも覚えています。

初めは妻と「昼休みぐらいまで付き添うか」なんて話していました。学校に到着し担任の先生が我々三人を連れて校舎を周り案内していると、ちょうど休み時間だった子供たちが一斉に長男に寄ってきて、手を引っ張って連れまわし、先生に代わって案内を始めました。

その光景を見て僕と妻は非常に安心し、学校に子供を一人だけ置いてすぐに帰宅しました。

それから6年後、我々が知る限り何の問題も無く学校生活をおくり、英語も上達し、一生懸命ラグビーをプレーし、遂には全校生徒と先生の投票の結果「スクールキャプテン」にも選ばれました。

※六年生は20人しかいませんから、20分の1の抽選に当たったようなものです笑。

おかげで次男は何の恐怖も無く同じ学校に入学し、元気に遊んでいます。

また、子供が学校に行くと、僕たちが一体誰なのかを地元の人がわかるようになる。街のスーパーのレジで「良い旅行を!」って言われなくなったのもこの頃からだと記憶しています。

自分達の生活もそうですし、子供を見ていても本当に思う事は「怖い事なんて何もない」「何とかなる」という事。ネズミやヘビが走り回る築100年の家で、雨水と川の水で生活し、都会から離れて生活してますが、今はここが天国と感じる。

特に子供は何でも吸収しすぐに覚えます。100教えれば200覚える。逆に何も教えなければ周りと差が付くし、人生を無駄にすると思っています。だから日本のご家族も、どんどんやらせて欲しいと思います。

ここはもうすぐ真夏のクリスマスを迎えます。

クリスマスなのに外はこんな景色です。

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今年は雨も降り、牛の状態も非常に良いし、先日蒔いた牧草の種もグングンと育っています。

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毎日、毎週、毎月とそれなりにトラブルや不安や何かしらの出来事が今年もあったのでしょうが、無事にクリスマスと新年を迎えられた事を感謝しなければいけませんね。

 

では、皆様も良いクリスマスと新年をお迎えください。

夜の仕事

こんにちは。

牧場の仕事って朝早くから日が暮れるまでというイメージがありませんか?
基本的にはそうなのですが、ある牧草の収穫の時に限っては夜中に作業を行う事があります。

この牧草を「ルーサン」または「アルファルファ」といい、牧草界の王様と呼ばれています。
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葉っぱに栄養が豊富に含まれているため、収穫する際には葉っぱが茎から落ちないようにします。
牧草は刈り取った直後にヘイにしてしまうと自然発火しますので、一度乾燥させます。
乾燥させると葉っぱは簡単に落ちるようになってしまいますので、収穫の際は明け方や夜中に地面に降りる湿気を利用して葉っぱが落ちないようにします。
みなさんも夜中や明け方に芝生の上を歩いたら靴がびしょびしょになった経験があると思います。
それを利用するわけです。

昨日は日中35度を越える暑さだったので、牧草は凄くドライ。
22時にモイスチャーをチェックすると強風と暑さの為かまだドライ。
そのまま待つこと4時間、2時になってもいまだに牧草はドライだ。
翌日は雨が降る予報なので、朝5時まで待ってもドライなら、モイスチャーを待たずにヘイにしてしまおうと決めた。

朝までテレビを見たり、デスクワークをしたりして時間を潰していたのだけど、その間僕と一緒に過ごした奴らが居るので紹介します。
翌日に雨が降る予報がある時に必ずと言って良いほど起こる現象がある。それは大量の虫が家の中に入って来る事。
虫と言っても、凄い小さい飛ぶ虫であり、完全に窓やドアを閉め切っていても、どこかの隙間から大量に入ってくる。
その数を小学生の気分になって言ってみると、ざっと一億万匹はいるのではないか?
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カーテンの隙間からこぼれる光にも行列が・・・。
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蛍光灯の周りにぶんぶん飛んでいるので、リビングに居てもブンブン飛んでいる虫が1分に1回は自分に着陸したり、耳の中に入ってくる・・・。
どうやら、気圧や湿度の関係で家の中に入ってくるらしいのだけど、量がハンパじゃない。まさに一億万匹だ。


そうして大量の虫とお付き合いしていると時間は明るくなり始めた朝5時。
少しモイスチャーが出たのでヘイ作りを開始である。
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順調にいけば2時間で終わる作業ですが、機械の大トラブルで10時になっても終わらない。しかも、あれだけ待って手に入れたモイスチャーは朝から照りつける太陽で飛んでしまったため、振り出しに戻ってしまった・・・。

結局、28時間も寝ずにいたのに仕事は終わらなかった。

若い頃は徹夜なんてヘッチャラだったのに、今はキツイ。しかも、朝からずっと陽射しと砂ぼこりの中作業をしてたので、全身真っ黒だ。
家にボロボロになり帰ってくると、妻が掃除機で一億万匹の死骸を吸うのに追われていた。
掃除機の音をかすかに聞きながら、11時にベッドに転がり込みました。

今夜はすんなり動いてくれるだろうか?
明日の朝にはブリスベンに日帰り往復の600kmの運転なので、サクッと終わらせたいものです。

毒りんご?

こんにちわ。

 

一昨日ブリスベンに行って帰ってきた後、何だか腰の調子が悪いなぁなんて思っていたら案の定カゼをひいてました。数年前に腰のヘルニアの手術をして以来、腰の痛みは消えたのですが、体調が悪くなると必ず腰の痛みから始まるようになりました。

まさに病気センサー。病気を真っ先に知らせてくれるなんて優れもの!!なんて思うかもしれませんが、今まで腰が痛くなってから病院に行ったり、薬を飲んだりして病気を未然に防げた事は一度もありません・・・。そう手遅れなのです。

 

腰が痛い

↓↓↓

「おっ!これは風邪来たな!!」

↓↓↓

薬飲む、早めに寝る

↓↓↓

翌朝起きれず

 

この繰り返し。なので、腰が痛み始めた時は諦める事にしています・・・。

 

さて、未然に防げないと言えば、病み上がりでまだ腰が痛いのに本日一発目の仕事。

畑の隣にそびえ立つ木の枝が折れ、フェンスを壊して種を蒔いたばかりの畑に落下して散らかっているとの通報を息子から受けたのでそれの片付けと修理。早く片付けないとカンガルーが畑に侵入して新芽を食べてしまうので早急に直さなければ。

何とも腰に悪そうな内容である。

現場に行くと、「枝」というには太すぎる立派な物が折れて畑に散らばってます。。。

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折れていたのは「アップルツリー」。このアップルツリーなんですが、よく折れます。しょっちゅう折れてフェンスを壊します。

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何がムカつくって、アップルツリーという名前のくせに、折れて折れて折れまくって、フェンスを壊して壊して壊しまくって、最終的にリンゴなんか実りません・・・。


なんでアップルツリーと呼ばれているか知りませんがリンゴは実りません、僕からすれば毒リンゴでございます。

さて、この大きなアップルツリーの片付け方法はというと、チェーンソーで細かくして、自分で持てる物は持って運んで(腰を痛めて)、持てない物はトラクターで持ち上げます。

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このぐらいの木なら小型チェーンソーで十分です。


まず、チェーンソーで切る作業。この作業ひとつとっても数年前の僕には未経験でした。そりゃそうですよね。都会に住んでいてチェーンソーを使ったことある人なんてそういませんから。

今じゃ歯を研ぐ事も含めてメンテナンスもお手の物になりました。

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トラクターもそう。今は手足の様に使っていますが、これも未経験でしたから事故を起こしましたし、色々なトラブルを招きました。

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重い腰を引きずって片付け終わり、フェンスを直して元通り。こんなイレギュラーな作業ですら2時間もかかってしまうんだから困っちゃいます。

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まぁ、今じゃたったこれだけと思える仕事ですが、かつては人を雇うか迷っていたぐらいですから、僕も少しは成長しています。ちゃんと育ちながら「実」は付けていっているんですね!

皆さんも「アップルツリー」と呼ばれないようにお仕事頑張って下さいね!!それではまた。

 

動画で見てみよう キャトルヤード編

前回の記事で、畑に散らばる牛をバイクで集めてキャトルヤードに入れたところまでを動画で説明したと思います。

 

今回はキャトルヤードの中での仕事をご紹介します。

 

まず、畑から集められた牛をキャトルヤードに入れた理由は2つあります。

ひとつはキャトルヤードには牛をトラックに載せる為の牛用の階段のようなものがあります。その階段を牛に登らせてトラックに載せますので、出荷される牛は必ずキャトルヤードに入る事になります。

そしてもうひとつの理由は、耳についているボタン(ピアス)のようなタグ。特殊なハサミのようなもので、耳に穴をあけると同時にタグを付けます。このタグにはマイクロチップが入っていて、スキャンをすると牛の所有者の情報が見れる仕組みになっています。セリの管理者がこの情報を読み取り、牛が盗まれたり、違う人の物でないか確認できる仕組みになっています。このタグが付いてない牛は売れないため、全ての牛にタグが付いているかセリに出す前に確認します(時々とれてしまっている牛も居る為)。

 

キャトルヤードにはいくつかの囲いがあります。これは牛を分けやすくする為でして、例えば100頭の群れから子牛とオス牛とメス牛の3グループに分けたい場合は3つの囲いが最低必要になりますよね?

大きな囲いに集めた牛を小さな囲いに動かして、牛の動きに合わせて右に左に直進にという具合に分けていきます。


キャトルヤード①

 

狭い囲いに閉じ込められた100頭の牛ですから逃げ道を探します。一頭が左に行くとみんな左に行こうとします。しかし、左に動く牛の中に右に行かせないといけない牛も居る為、僕が体を張ってそれを食い止めます。

動画でどういう事か感じて頂ければ幸いですが、300キロの逃げ惑う牛数頭と4畳ほどの囲いに一緒に入り、それを体で止めるのは危険を伴う時もあります。なので、この仕事はまだ子供にはやらせる事が出来ません。


キャトルヤード②


パドックからキャトルヤードまで③

 

最後のタグを付ける動画ですが、知らないうちにおでこのカメラがずれていて変な所を写してます。スミマセン。


キャトルヤード④

 

こうして無事に77頭すべてが2階建てのトラックに載りセールヤードに運ばれて行きました。

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バイクや馬で牛を山や崖を歩かせる時も、キャトルヤードでの仕事も、やはり大きな動物が相手ですから自分の思うようにいかない場合もあります。

常に安全に気を付けて仕事をする事がこの牧場で一番大切です。

みなさんの食卓に牛肉が並ぶ前にはアメリカやアルゼンチン、そしてオーストラリアや日本・・・どこの国でもファーマーがこのように仕事をしています。

命を懸けて育てた牛がテーブルに並んでいるわけです。

だから美味しいんですね。

これは牛に限らず、魚もお米も、野菜もすべて同じです。

時々ファーマーの事も考えて食べて頂けたら嬉しいです。

 

動画で見てみよう 牛集め編

こんにちは。

昨日は今年最後の牛の出荷でした。

地元のセールヤード(セリの会場)で大きなセリが開かれたので、そこに僕の牛も出しました。

規模の大きなセリになればなるほど、遠方からもバイヤーがやって来るので、値段も上がりやすい傾向にあります。

人が多ければ多いほど文字通り競って入札する為に値段が上がるというわけです。

昨日は900頭の牛がセリに出され、ここGibraltar牧場からは合計で77頭の牛を出しました。

 

さて、いつもは文章と写真で牧場の様子を説明していますが、頭に取り付けるカメラを購入したので、試し撮りを兼ねて、牛を追いかけてキャトルヤード(牛を囲う柵)の中に入れる様子と、狭いキャトルヤードの中で仕事をする僕の様子を動画に撮ってみました。

動画はいくつかあるので、今回は牛を集める動画をアップします。

キャトルヤードでの仕事は後日アップしますね。

 

※画面がぶれる為、動画を見ていたら僕は船酔い状態になりました。同じような方がいたらごめんなさい。

 

まずは6万坪の畑に散らばる牛を集める動画です。


パドック~キャトルヤードまで①

 

 


パドック~キャトルヤードまで②

 


パドックからキャトルヤードまで③

 

動画内でもコメントしていますが、ここは平らな畑ですし、キャトルヤードまでも一直線なので、牛集めも非常に簡単です。

時には川を渡らせたり、何キロも歩かせたりと大変な作業です。

 

次回はキャトルヤードでの仕事を動画付きで記事にしますので、楽しみに待っていてくださいね。

では。

期待と裏切り

こんにちは。

日本の天気はいかがですか?

オーストラリアの気候は日本と似ています。夏も冬も似たような気温です。

ただ、こちらと日本の四季は真逆でして、わかり易い例えを言いますと、サンタクロースは真夏の気温40度の中煙突から入って来ます。笑

何年ここに住んでいても、ギラギラと太陽の照りつけるクリスマスと正月はピンときませんね・・・。

 

さてさて、突然ですが、皆さんは期待したり、されたり、裏切られたり、裏切った事ってありますか?

大小関わらず経験があると思います。

期待をするから裏切りも感じるのでしょうし、知らないうちに期待されているから、裏切られた!!なんて言われたりもするのでしょうね。

なんか、人生相談のような内容になってきましたが、牧場の話しです。

前回もこんな文章だったような・・・。まぁ気にしないで下さい。

 

夏になると基本的には牧草の種を蒔きます。これは草の伸びない冬に牛に与える為のエサ作りです。

牧草が伸びたらそれを根元近くからカットして、乾燥させて機械で圧縮して四角いかたまりにします。これを「ヘイ」と呼びます。

 

地面に落ちているのがヘイです。

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これは立派なエサですから、売買可能ですし、これで生計を立てている牧場は山ほどあります。

ここGibraltar牧場ではヘイは基本的に自分の牛だけの為に作りますので、売ったりはしません。

ただ、雨が降らずに牧草が収穫できなかった場合は、他の牧場から購入する事になります。

では、なぜわざわざ自分で作るのか?

理由は簡単です。「安いから」です。

他から買うより、約4~5分の1の値段で作る事が出来るから自分で作ります。

その牧草の種蒔きを先週雨上がりに行いました。

種を蒔く際は畑の土に水分がある、もしくはすぐに人工的にでも水分を与えられる事が条件です。ですから、雨上がりの後数日待って、ぬかるみが無くなった頃に種まきを行います。

もちろん、雨が降る前に畑を耕したり、雑草の処理などを行い、雨が降ればすぐに種を蒔けるように準備をしておきます。

トラクターに種蒔き機を連結し、今回の牧草「ミレット」の種と肥料を種蒔き機に入れて43000坪の畑を時速6.5kmでグルグルと周ります。そりゃあ時間がかかります・・・。

 

これが今回蒔いたミレットの種。

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これが種蒔き機。

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この箱に肥料や種を入れます。

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家庭菜園や、小学校の自由研究などで経験がある方もいらっしゃるかもしれませんが、種を土に埋めたからといって、必ず芽が出る訳ではありません。もちろん、種を埋める深さや肥料や土の質にも左右されますが、初めに書いたように、草も生き物ですから「水」が無ければ全く育ちません。

まず、雨上がりに種を蒔いた場合、間違いが無ければ大体は発芽してくれます。

しかしドライで気温の高いオーストラリアではここからが勝負です。

想像してみて下さい。産まれたばかりの赤ちゃんにミルクを与えないとどうなるか?

答えは簡単ですよね。

牧草も同じです。発芽した後に雨が降らず、土の中の水分も失われていくと、芽が出たにもかかわらず消えて無くなります。

実際に2年前の夏に蒔いた種は芽が出て、足首まで成長しました。が・・・その後とんでもない乾燥に見舞われて、畑からは何もなくなりました。そう。枯れてしまったのです。

緊急時には川から水を汲み機械で散水しますが、なにせ4万坪以上の畑に水を撒くのは費用と設備が物凄くかかりますし、ドライの時は、川にはポンプで吸い上げるだけの水がありません。

種を蒔いた後は天気予報を何度も見ます。期待して見ます。そして裏切られます。

裏切られる事の方が多いです。「空の人」から言わせれば裏切ったつもりは無いのでしょうが、僕は裏切られたと都合よく言っています笑。

 

今回の種蒔き。畑にはキレイに種蒔きの跡が残っています。

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土からは早くもミレットの芽が出始めました。

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ほら、さっきの写真の種から出てるでしょ!?

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表面は乾いているけれど、土の中にはまだ水分がある。

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どうか期待してますので裏切らないで下さいね。宜しくお願いします。