いたちごっこ
「いたちごっこ」
双方で同じようなことの繰り返しで,いつまでも埒(らち)のあかないこと。
さて、変な書き出しですが、今日のブログの内容です。
こちらは一昨日雨が降るまで例のごとく雨が降らず、しかも気温が毎日のように40度を超えていた為、パドックの草はだいぶ短くなり茶色くなっていました。今回は予想より降った為、しばらくすればパドックもグリーンに変わって来るでしょう。
しかし暑い。とにかく暑い。午前10時から午後6時ぐらいまでは地獄の暑さ。特にランチが終わった後の1時や2時は外に出られたもんじゃありません。
そんな猛暑の中、シャツをびしょびしょにしながら僕がパドック内で格闘しているものがあります。
広い牧場で放牧を牛を育てるには当然ながら草が必要です。360万坪の牧場で育つ草の99%は自然の恵みで、残りの1%は僕が育てる牧草です。逆に言えば牧場で牛を育てているのですが、その牛のエサを僕がコントロール出来るのは1%しかないと言う事です。
その残った99%をいかに減らさずに現状維持させたり増やしたりするかは僕の仕事量にかかってきます。当然牧場の広さは360万坪から変える事は出来ません。もちろん、他の土地を買えば草は増えますが、そんなお金あったっけ??です。
さて、99%の増やし方や維持方法ですが・・・
①雨乞いをして本気で祈る、踊る(笑)。
②肥料や種を撒く
③邪魔な物を取り除く
この3点です。
①ですが、笑ってはいけません。この地域は以前記事にもしましたが干ばつが深刻な地域に指定された事があるほど雨が降りません。テルテル坊主を逆さに吊るしたりと工夫をしましたが全然降りません・・・笑。
②の方法はヘリコプターなどを使って空から広い土地に肥料や種を撒き、既存の草のボリュームアップをはかる方法です。そりゃコストは掛かります。
③が今回の記事です。「邪魔な物」を取り除くとありますが、邪魔な物は大きく分けて二つあります。
ひとつは牛が食べない雑草。
牛は草であれば何でも食べる訳ではありません。やはり食べない草もあります。その食べない草を除草剤などを使い枯らせる事で、牛の食べる草が摂取できる栄養や水を増やすという内容。ただ、これには問題があって、もちろん除草剤などのケミカルを撒き散らす事もそうですが、本当に酷い干ばつなどで草が無くなった場合、牛はこれらの「普段食べない草」も食べるようになります。なので、非常食として取っておきたいところです。
もう一つは「木」です。
牛は木は食べません。木は日陰を作りますが、日陰は草の育ちが悪く、木が多く生える森は牧草地には適していません。その木を減らす事で、草の生えるスペースを増やすという方法です。
今回ご紹介する「木」ですが、ホントにファーマー泣かせの木です。どんな木かというと、皆さんにも馴染みのある松の木です。この松の木をチェーンソーで切る事を職業にしてる人がいるほど、牧場では困った木なのです。その内容を写真で解説します。
まず、これが問題の松の木です。
この松の木は非常に繁殖力が強く、尚且つ土をダメな土に変えてしまいます。
下の写真の様に、大きい松の木の周りに小さい松の木が無数に生えています。。
この松の木の下を見てみると、草は全然生えていません。
詳細は勉強不足なのですが、地元の人曰く、どうやら松の木が地面に落とすものが土を殺し、死んだ土が雨で流れていってしまう。との事。たしかに、松林の中は土が薄くて石がゴロゴロしている。
もうお分かりだと思いますが、この松をどんどん処分しないと、牧草地はすぐに松林になり、牛が食べる草がどんどん無くなります。現在360万坪の敷地内の30万坪ほどは松に覆われてると思います。
この松をチェーンソーやブラシカッターを使用して歩きながら切っていく事が牧場のひとつの重要な仕事です。
気温40度を越える中、山あり谷ありの牧草地を機械を持ちながら背中を曲げながら歩くともうシャツはビッショリの脱水症状寸前です。
松の処分前
処分後
処分前
処分後
こうして何とか既存の牧草の現状維持に努めているのですが、下の写真を見て下さい・・・。
この写真にも・・・
この写真にも・・・
この写真にも・・・
あぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!
松を切って地面が見えてくるとそこには・・・。
俺が4年前に切った松が・・・・。
そうです。そうなんです。こういう流れなんです。
数年前「あっ松だ、切らなきゃ!」
数年後・・・。「あっ松だ、切らなきゃ!!」
チェーンソー「ギュイーーーン」
切られた松「あっ、どうもお久しぶりです4年前の松とその子供です」
松は切るともっと出てきます。切らないとどんどん増えます。
あなたは切りますか?切りませんか?
これも牛の為。切って切って切りまくって、その内子供にバトンタッチして逃亡ですね笑。
それでは!